可愛すぎるぞ! - ハンミョウが駆け寄ってくる
2019.12.28
末尾の「飼育方法」を追加すると同時に、本文にも加筆,手直しをしました。(2020.1.9)
最初は玉虫から始まった
我が家の庭で草むしりとか何か作業をしていると、数年に一度くらい、ひょっこりと玉虫が現れることがある。
緑色の身体に2本の赤い縦線が入って、全身が金属のような光沢に包まれる。
その美しさは古くから注目され、法隆寺の「玉虫厨子」は飛鳥時代のもの。社会科で習ったのを覚えている。
その玉虫が今年の夏も現れた。風で倒伏したジュズダマの茎の上を歩いていた。
そこで捕まえたのだが、その日の夜にはぐったりしていて、翌朝には死んでしまった。何故かいつもこうなる。
またイヌビワの幹を胸の高さくらいで切ったら途中で縦に避けてしまい、幼虫が出てきたこともあった。
新鮮なイヌビワの幹の中というのも飼育が難しそうだが、成虫でも飼育に入る前に死んでしまうのだ。
元々飼うのは難しい昆虫らしいから、仕方がないのかも知れないが、今の場合はほぼ間違いなく別の原因だ。
飼いにくいとされる理由は、飼育下だと餌の葉っぱを食べずに衰弱してしまうことのようだ。
だが昆虫としては大柄な玉虫が餓死するには数日かかるはずで、24時間以内に死んでしまうのは早すぎる。
そこで2つの可能性を考えている。本来なら木の上にいるはずの玉虫が地面を這っている時点でおかしい。
なので一つ目の可能性は、木の枝に掴まっていることができないくらいに弱って降りてきている可能性だ。
もう一つは、蚊取り線香の毒、即ちピレスロイド系の殺虫成分に弱いのかも知れない。
夏に庭で作業するときはだいたい蚊取り線香を焚いて作業をしている。記憶はないのだが、
過去の玉虫も全て、蚊取り線香を焚いていた時に捕まえていた可能性がある。これがバッタやコオロギなら、
蚊取り線香の灰が付いた手で掴んでもまず平気だ。しかし蝶は概して弱い。もちろん蚊も弱い訳だ。
ピレスロイド系が持つ毒性作用は、対象の昆虫で大きく異なるので、もしかしたら玉虫は弱いのかも知れない。
ただ同じ甲虫のカブト虫は強いので、その点は気になるが。
こうして手元に残ることになった玉虫の死体を、展足するか迷ったが、身体の大きさの割に脚が細く短いので、
逆に身体に脚を密着させて乾燥させることにした。触角も身体に沿わせて後方向に。
この姿勢は何かに引っかかって脚や触角が折れる危険性が小さい。それで昔父に聞いた話を思い出した。
「玉虫は死んでも美しい金属光沢が続くので、タンスに入れておくと服が増える、と言い伝えがある。
けれども実際にはタンスに入れると災難になる。まず服を食べる害虫がいて、虫の死体も食べるので、
玉虫の死体に呼び寄せられてタンスにやってきて、服はその害虫に穴を開けられてしまう。」
しかしビニル袋の中に密閉すればタンスの虫が付かないようにできるよなあ、と思った。更にこの姿勢も良い。
脚や触角が身体に沿うように曲げられているから、ビニル袋に入った状態でタンスに入れても折れないかも?
やっぱり折れるよね。ビニル袋の上から衣服が押すから。そこで閃いた。
そうか、樹脂に封入すれば良いんだ。
小学生の時に自分用のお土産に買った、蟹や貝を透明な樹脂に封入したキーホルダーがお気に入りだった。
あれと同じようにすれば良いと考えた。
数日後に、試しに「樹脂標本」のキーワードでネット検索してみたら、予想通り“欲しかった情報”が見つかった。
やはりあれは「樹脂標本」と呼ぶんだな。ただ樹脂標本に入れ込んでいる人は少ない様子。
頼りになりそうなのは、複数の樹脂を比較している人のHPだけ。精神的に苦しいとも書いている。応援したい。
更に生物の嬉先生にも尋ねて、幾らか情報を貰った。いずれにしてもまず乾燥標本にする必要がある。
乾燥中に虫が付かないように防虫剤の雰囲気下で乾燥しているが、防虫剤はスチロール樹脂を濁らせるので、
もし残っていると、他の樹脂にも悪い影響があるかも知れない。虫のいない冬に外そう。
すぐに死んでしまった玉虫 後述のハンミョウ
さて父の思い出はまだ続く。高校で日本史を教えていたので玉虫厨子についても父は詳しくて教えてくれた。
けれども父の個人的意見としては「ハンミョウの方が美しいと思う」とも言っていた。
金属光沢は同様で、色彩が豊かだ。赤や緑に加えて、地色は深い紺色、更に光沢のない白色斑紋も入る。
ただし小さな虫で体長は玉虫の半分ほど。厨子には向かないかも知れない。
ハンミョウも欲しいな
客観的に一番綺麗な虫なんて決められないけれど、父の好みに合った昆虫だと思えばまた見方も違ってくる。
しかもハンミョウは玉虫とは逆に脚が長い。自然な姿勢に展足したときの“活き活きとした姿”が想像できる。
樹脂標本を作るならハンミョウも作りたい。
そう考えてみたもののハンミョウは庭では見たことがない。山に行くと時々見かけるけど、偶然出会う感じだ。
彼らは開けた地面が好き。そう言う場所が彼らの狩場で、小さな生き物を襲って食べる肉食昆虫なのだ。
けれども自然界では開けた地面は少なく、すぐ草木に覆われてしまう。だからどちらかと言うと里山の昆虫で、
人間が道を作ったりすると、そこが彼らの生活の場になる。
数年前に研究室の学生を連れて近くの低山にハイキングに行って、舗装道路を歩いていたらハンミョウがいた。
我々が数メートルの距離まで近づくと、身軽に翅で飛んで数メートル先に着地する。
また近づくと同じように飛んで逃げて、常にある程度以上の距離を保とうとする。その繰り返しで近づけない。
この行動から「道教え」の別名が付いているのだが、近づけないから学生には美しさが分からない。
いや正確には2人の学生の内の1人は元からハンミョウを知っていた。だから美しさも承知している。
もう1人の目には遠くの小さな塊にしか見えない虫が、「美しい」と言われても全くピンと来ない。
そこで近づいて良く見ようとすると、また少し先に飛んで行ってしまう。とうとう近づくのは諦めて、
数メートルの距離から僅か体長2センチほどの虫の写真を撮った。最近の携帯のカメラの性能は凄いものだ。
スマホに切り替わった時に性能が落ちた筈だが、もう挽回以上。肉眼で見えない遠くの虫の拡大写真が撮れて、
学生は「おおっ」と美しさに驚いていた。
それ以来ハンミョウは見ていない。それ以前に遡っても、佐賀に来る前に1回と、来てからも3-4回しかない。
因みに佐賀に来る前の1度は箱根で、川縁にできた砂地にいるところを父と一緒に見つけて捕まえた。
佐賀に来てからが多いのは登山をするようになったからだが、近頃は登山しても特定の樹木が目的だったり、
登山を目的に登ることをしなくなって、同じ山にしか登らない。にも関わらず出会うことができた。
当に樹木が目的だった。以前書いたように今でもカゴノキのために時々山に登る。今年は9月上旬に登った。
下山は違うルート、と言っても登山口は100メートルくらいしか離れていないのだが、別ルートを下ってみたら、
登山口の開けた場所に多数のハンミョウがいた。多数いるのを見たのも初めてだった。
多分今までこの登山口は別の季節しか来ていなかったのだろう。これは予想外だった。補虫網を持っていない。
手で捕まえるしかない。のだが、数メートルまでしか近づけないのは前述の通り。
そこで何度も逃げさせて疲労させる作戦にした。ところがそのためには、多数いることが逆に問題だった。
1匹を追いかけようとしても複数飛び立ってしまって、どれを追いかけていたのか分からなくなってしまうのだ。
手が届く距離に近づいて更に手を被せる直前まで逃げない“お間抜けさん”に出会うしか、捕まえる方法はない。
何十回と試みる内にやっと捕まえた。
最終的に確認したのは死んでしまってからだが、何故か捕まえたのは雄だと感じた。結果的に正しかったから、
今後このハンミョウを“彼”と表現することにしよう。因みに大顎と前翅の“肩”の部分の色で見分けた。
大顎の半分より先まで白く、また“肩”の部分にも小さな白色斑紋があるのが雄、とのことだ。
捕まえた瞬間に逃げようとして翅を広げたため、前後翅とも完全に閉じることができない状態で指に挟んでいた。
急いで登りの登山口の脇にある駐車場まで行って、車に積んであったプラケースに入れた。
彼は必死になって飛んだり走ったりして、外に逃れようとした。その行動がいつまでも続くことに心配になった。
非常時の激しい行動は体力を消耗するので、それが続くと短時間で死んでしまうことに繋がる。
本当はすぐ死んでも良いのかも知れない。樹脂標本にする予定なのだから。
それどころか標本にする場合は、捕まえたら新鮮な内に、すぐに毒瓶に入れて殺すのがセオリーとされている。
何故なら生かしておくと、暴れて足の先が折れたり、身体に余分な液体が付着したり、
標本にするには不適切な状態になってしまうことが少なくないからだ。甲虫は割と丈夫だから良いが、
蝶の鱗粉だとか、トンボの翅だとか、生きたまま入れ物に入れて無事であることはまずない。
だから早く殺すのだ。まして私のように標本予定の虫を飼育するのは邪道も邪道、とんでもない話なのだが、
どうも殺すのはダメだ。やっぱり飼育することに決めていた。だから暴れて困るのは衰弱を速めるためだった。
助手席の足下に置いて、時々様子を見ながら運転したが、間もなく暗くなって彼も静かになった。
ハンミョウの飼育
自宅に到着して、飼育するための少し大きな容器の底に真砂土を5mm程度敷いて湿らせて、彼を移し入れた。
すると再び暴れ始めた。容器の壁を登ろうとしたり、翅で飛んで外に出ようとしたり、困ったものだ。
翌日になると大分落ち着いて来たので餌を与えてみることにした。庭で捕まえた小型の蜘蛛を入れてみた。
暫くすると気づいて追いかけ始めたが、分かったのは案外と「狩が下手くそだ」と言うことだ。
足は速いのだが、大顎で噛みつこうとしてもなかなか挟むことができず、狙いを外してしまうのだ。
そうするとどこに逃げたのかすぐには分からない。動かない餌に気づくのは多くの昆虫が得意でないが、
彼もご多分に漏れず苦手らしく、次に動いたとき視野の中に入れば気づく、と言った調子だった。
散々苦労していたが、なにしろ狭い飼育容器の中なので、とうとう餌の蜘蛛を捕まえて食べ始めた。
食べ方がまた、如何にも「大きすぎる大顎が不便」と言うような様子で、なかなか飲み込めるサイズにならない。
随分と不器用なハンターだな、と感じた。
さて出会いが突然だった故、ハンミョウの生態や飼育方法は後から調べた。すると死肉も食べると書いてある。
それなら金魚の餌も食べるかも知れない。真砂土に充分水を掛けてから金魚の餌を2粒ほど置いてみた。
間もなく餌が水を吸って柔らかくなる。真砂土は乾くまで待って、乾いたら水を掛けるサイクルにしていた。
と言うのも常に湿らせていると、彼が綺麗に食べられずに落とした餌の破片が腐って、
すぐに環境が悪化してしまいそうだと考えたからだ。そのため金魚の餌の実験は、着想してから数日後だった。
最初は金魚の餌に気づく様子がなかったが、10分くらい経って見たらいつの間にか見つけてモグモグしていた。
上の動画はずっと後になって、やっと現場を捕らえて撮影できたもの。
因みにこの餌は金魚用に限る必要はないと思っている。十年以上前のこと、キリギリスに与える煮干しがなくて、
代わりに亀の餌を与えてみたら、彼らは煮干しより亀の餌の方が好きで、大好物だと言うことが分かった。
キリギリスだから「鈴虫の餌が大好物」なら分かるが、と思いながら、栄養成分表を調べてみると、
亀の餌でも鈴虫の餌でも、金魚の餌でもどれもほとんど同じ成分だと言うことが分かった。
亀や金魚は丸呑みにするので餌の大きさが重要だが、鈴虫やキリギリスは囓って食べるから大きさは無関係だ。
ハンミョウも囓るけれど、餌を咥えて租借するので、金魚用くらいが最適サイズだとは思う。
その後もいろいろな虫を与えてみたが、堅い殻に覆われた虫は噛み砕けない。例えば、ダンゴムシはダメだけど、
ワラジムシならOKだった。芋虫なら少し大きくても大丈夫だが、ハサミムシはダメだった。
ただし堅い殻の虫でもその殻を砕いて与えれば、そのうち拾って食べるから、餌として利用できないわけではない。
しかし金魚の餌が使えると分かってからは、そちらの方が主体で、生き餌は全体の3分の1程度にした。
そんな訳でこれだけでは、完全に金魚の餌ばかりで飼育可能かどうかは分からないが、もしそれで飼育できるなら、
都市部で生き餌の入手が難しい人にとっても飼育容易な昆虫と言うことになる。
面白い行動にも気づいた。脚が長くて可動域も広いので、背中に届いて背中を掻くことがある。中脚を使っていた。
同様の行動は他の甲虫では思い出せない。ハンミョウに特有の行動かも知れない。
そうこうする内に彼もすっかり飼育環境に馴れてきて、滅多なことでは暴れなくなった。私がすぐ横を通っても平気。
飼育容器を掴んで持ち上げても平気。近くに私が座って上半身を左右に揺すると、気づいて寄ってくるではないか!
当然ながら飼育ケースの透明な壁にすぐぶつかるのだが、よじ登ろうとしたり壁を囓ろうとしたりする。
おかしいなあ...。野外では逃げていたのに、逆にこっちに寄ってくるぞ。
これじゃ、「道教え」にならないよ。
距離感が掴めずに私が近くにある小さな餌のように見えるのだろうか? そこで“いたずら(=実験)”を思いついた。
針金を飼育容器に差し込んで細かく揺すってみたら、予想通り寄ってきて針金に噛みつこうとした。
そうかも知れない。何か動くものが見えても距離感が分からないので、餌かも知れないと考えてとりあえず近づく。
そして近くの小さなものだったら、とりあえずその動くものに噛みついてみる。そう言う生態なのかも知れない。
だがこの解釈には大きな問題がある。それなら野外で遠くの大きな動物が近づいてくる危険をなぜ察知するのか?
短期間で飼育環境に適応して、野外での行動様式を捨ててしまったと考えざるを得ない。
針金を追いかける様子が余りにも可愛いので、携帯のカメラで動画撮影したのが上だ。結構これは難しかった。
針金を動かしながら、携帯を持つ手は動かさない。けど、彼が移動すると撮影すべき場所が変わるから、
それに合わせて携帯をゆっくり動かす必要はある。繰り返す内に彼も「餌でない」ことに気づいたのか、
反応してくれなくなってしまった。結局は最初頃に撮影したものが一番ましなので、画質を落とした上で掲載した。
これが今回の話のメイン動画のつもりだ。
以前「昆虫が懐くのか」ということを考えたが、その時は「“懐く”とは飼われることで行動を変えることだとすれば、
昆虫でも確かに懐く」と言う具合に議論してみた。けれども彼の行動の変化は激しすぎる。
普通昆虫は所謂「本能と呼ばれるもの」の影響が強くて、「良く観察すれば行動の変化に気づく」程度でしかない。
当たり前だが、昆虫のように小さい動物にとって人間のような大きな動物は恐怖の対象である。
しかしその大きさが把握できなくて、例えばクワガタが飼い主のちょっかいに怒って威嚇したりすることはある。
だが普通は昆虫は飼い主のちょっかいに逃げるのだ。それが彼ときたら、犬がボールを追うように戯れてくれた。
飼育による彼の行動の変化は“ぶっ飛んで”いて、完全に異次元のレベルだ。
ハンミョウの顔はどう見ても可愛い造形ではない。飛び出した目玉と、長すぎて顔の長さの半分以上も占める牙だ。
その2つの要素がほとんど「顔の全て」である。昆虫の皮膚は堅いので顔には表情がないものだが、
それでも姿勢や仕草などで、リラックスした気分だとか、逆に緊張感だとか、感情を飼い主に感じさせることがある。
「この無愛想な顔ではねぇ」と思っていたのが、飼ってみたら行動が「昆虫らしからぬ、無類に可愛い」ヤツだった。
この厳つい顔と愛嬌に富む行動のギャップは相当なものだ。
もっと面白いことができそうだと気づいたのは、更に2日ほどしてからだった。餌を彼に直接与えたらどうだろう?
亀は私が餌をくれることを理解しているので、近づいただけで餌をねだって大騒ぎだ。
亀の餌を水でふやかして千枚通しの先に挿したものを差し出している、と記したが、ハンミョウでもできそうだ。
けれども金魚の餌は亀の餌より更に小さいので、まず先日の針金の先端を紙やすりで削って尖らせて、
極細かつ長い“千枚通し”に加工した。ふにゃふにゃだから紙千枚どころか1枚も通せないが。
その先端にふやかした金魚の餌を付けて彼の前に差し出してみたのは、結局上の動画から4日後のことだった。
どうも反応が悪い。近くで動かしても反応がない。餌を口ひげに直接触れるようにしたらやっと受け取ってくれた。
一旦「針金は餌ではない」と学習してしまったからかも知れないと思ったが、どうも様子がおかしい。
餌を租借する大顎の動きに元気がない。暫く噛んでいたが、結局ほとんど飲み込まずに地面に落としてしまった。
この顛末を見て悟った。
彼の死期が近い。多分明日には昇天する。
実際そうだった。1-2時間でも変化が分かるほど動きが鈍くなっていき、翌日には亡骸となった彼の姿があった。
飼育開始から1ヵ月半、もう10月下旬で寒くなり始めている。昆虫の寿命としては普通の時期ではある。
ただ昆虫の中には、飼育することで自然界での限界を超えて長生きさせることが可能な種類もいる。
割と飼育しやすかったので、ハンミョウもそのタイプかも知れないと期待していたが、どうやらそうではなさそうだ。
予定通り、標本にするために展足した。生前の活き活きとした姿で。
飼育方法 これを読んで飼育に挑戦する人が出てくるかも知れないので、実行した方法を簡単にまとめておこう。
飼育容器は普通の透明プラケースで長底辺が20cm程度。底に5mm程度の土を敷き、室内日陰に置いた。
この土にケミカルスポイトで水を染み込ませた。乾いたらまた同様の方法で湿らせる、と言うように繰り返した。
土の湿り気は主に湿度を保つ意図だったが、特に初めの内は土に口を付けて水を吸う様子も見られた。
一方飲み水としては次のように与えた。まず水入れの容器を作った(適当なものがなくていつも困っている)。
トローチの個包装で円盤形に浮き出たプラとアルミ箔によるものを、使用後にプラ部分のつぶれを直してあった。
これの円盤形に浮き出たプラ部分だけを鋏で切り取って、逆さにしたものが水入れの容器である。
この容器になみなみと水を入れた状態にすると、その水が1/3位になってしまう頃に土も乾くので、
土と同時に水入れにも水を供給した。実際には水入れから水を溢れさせることで水入れの洗浄も兼ねた。
それでも水入れは汚れやすいので、時々大型ピンセットで取り出して水洗いした。
土そのものは3-4週間したところで一度入れ替えた。実際には別のプラケースに敷いてからそちらに移動した。
餌は2日に1度くらい与えた。生き餌と金魚の餌5-6粒を交互に与えたが、これで分量的には金魚の餌が多い。
生き餌の大きさは5mm程度で、地面を這う蜘蛛、芋虫、ワラジムシなど。堅い昆虫のときはペンチで潰しておく。
金魚の餌は土を湿らせたすぐ後に土の表面に直接置いた。土の水分を吸って柔らかくなると食べられる。
なお餌に気づくのが少々早い傾向があり、租借に苦労していたので事前にふやかせた方が親切かも知れない。
ただその場合、餌から土への水分移動も多くなって、土の汚染は早くなる可能性がある。
先端を尖らせた針金にふやかせた金魚の餌を付けて与える方法は、上記の通り一度しか試せなかったが、
飼育環境に慣れたハンミョウなら可能なのではないかと思われる。ただし1粒を食べきるのに時間が掛かるので、
5-6粒の餌をこの方法で与えるのは、待ち時間が長くて焦れてしまいそうだ。
※ 翌年も飼育しての情報を載せました。併せて参考にしてください。
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