バケツ一杯の、ふき、フキ、蕗   2013.5.14  
 

中国の話以来の一連のテーマが一段落して、やっと気楽な話題です。
毎年春に庭の蕗が芽を出してくるから、それを採って茹でるのだ。段々増えてきてこの2-3年は食べきれない。
最初の年はインターネットで茹で方を調べた。「筋を取る」と書いてあるのだけど、やってみると巧くいかない。
内側の筋まで取ろうとすれば、蕗を解体しなければならなくなる。残すなら表面付近の筋も同じことである。
実際問題としては皮を剥くだけで良いのだ。それが経験から学んだことだ。
ところで去年圧力鍋を買った。6リットル入りのバケツのような大きな鍋だ。値段と大きさが比例しなかった。
安い上に大きいのが魅力だが、自分には不必要なサイズで迷った。何か実験に使う可能性も考えて決断したが、
やっぱり日常使用には大きく重すぎて、結局半分程度の大きさの圧力鍋を買い直す羽目に陥った。
その大きな圧力鍋を使えば例年より多くの蕗を一気に茹でられるし、少し堅くなった蕗でも加圧すれば良い。
デカすぎてお蔵入りだった圧力鍋に活躍の場ができた、と大喜びで茹でたわけだ。
実際には6リットルよりもかなり多すぎて、蓋にくっつくほどになった。当然一番上までは水に浸からないが、
そこは圧力鍋、きっちり火が通るのだ。
1回目はあく抜きを忘れて苦かった。味付けも塩辛すぎた。醤油はそのまま、塩を省いて砂糖を増やすことにした。
こんなに入れて良いのか、と不安になるぐらい沢山の醤油と砂糖を入れるのだが、それで良いらしい。
手加減すると味が薄くなってしまう。醤油と砂糖の消費量が激増した。それだけ蕗の量が多いと言う事なのだ。
2度目の味付けは良くできたが、何故か皮が少し残った。長すぎると剥きにくいし、切るときも俎板に乗りきらない。
そこで長さを揃えて先端の細くなった部分は捨てることにした。食べられる物を捨てるのは気が引けるけど、
このままでは庭に蕗が増えすぎて間引くことになりそうなので...。短くなったことで自動的に皮も残りにくくなる筈だ。
一度茹でた後で食べてみると今度は味が薄い。濃厚な砂糖醤油の汁を作ってそれを掛けて、改めて煮詰めた。
皮剥きも工夫した。皮の先端を繰り返し爪で掻き起こしていると、痛くはないが下皮と爪の間に隙間ができてしまい、
そこに蕗のあく(?)が黒く沈着して取れない。包丁で皮の先端を起こし、それを親指で押さえて引き剥く方法に変えた。
そうして3度目はまずまずの出来映えだったが、また来年には今年の注意点は忘れてしまうだろう。
皮を剥くところから茹で終わるまで5時間くらい掛かってしまう。それなのに茹でるのだから、物好きではある。
電話で親に話したら呆れられた。
地味なことながらうっかりやってしまいそうな失敗もある。蕗の皮剥きで飛ぶ汁が服に付くと洗濯しても取れない。
今年は偶々1回目の時に下着だけで皮むきしたから、それを見て気がついた。そこで2回目以降も服を脱いでいる。
来年の最初に蕗を茹でるときは要注意。かなりの確率で忘れているだろうから危険だ。
昔は蕗なんて美味しいと思わなかった。それがいつの間にか味覚が変わって、今はかなり好きな食べ物である。
ご近所からマーマレードを頂いて、そのお返しに蕗を持って行ったことがある。その当時はまだ庭の蕗は貧弱で、
それなりに貴重だった。それに手間と時間の掛かりようと言ったら大変なものだから、奮発したつもりだった。
ところが「こんなつまらない物を持って来た」と言われてがっかりした。こんな事なら自分で食べれば良かった。
それ以来彼にはお菓子で済ませている。仕事をしていると時間は貴重だ。お金で解決する方が安上がりなのだ。
だのに膨大な手間暇を掛けて蕗を茹でているのだから、我ながら良くやるものだと思う。
今年は大量にあるから丼に一杯ずつ朝夕食べるようにしたら、最初の夜は軽い消化不良の症状が出てしまった。
それからは良く噛んで食べるように気をつけている。
バケツ一杯の蕗はやっぱり一人で食べるには多い。量が量だけに冷蔵庫に入りきらないから、鍋のまま保管。
そうすると4日ほどでカビてしまうのだ。食べる量を増やすには、口の方は全く平気だが、胃腸が限界らしいから、
そんなに食べる早さは変えられない。先日もカビさせて泣く泣く少し捨てたが、9割方食べることができた。
去年まではカビるより先に食べ終わっていた。特大サイズの鍋を使い始めたからこその悩みである。
一部分でも冷蔵庫に入れられるようにしたら、少しは良くなるかも知れないと思って、昨日容器を買ってきた。
茹で終わるとかなり体積は減るが、それでも5リットル位ありそうだ。まだその内の半分も冷蔵庫に入らないが、
少しずつ工夫していくつもりである。
ところでこんな事を書いていると料理が好きなのかと誤解されるかも知れない。料理が嫌いというわけではないが、
と言うよりむしろ大学生の頃は料理を面白いと思っていたのだが、今は毎日料理するような時間がないから、
時々しか料理しなくなり、時々だと食材を腐らせてしまって、とうとう料理は止めた。それが着任後数ヶ月のこと。
それ以来いわゆる中食が中心になっている。
蕗を食べるのには、野菜が足りないのを補充する意図もある。けど特定の季節だけ多量に食べても余り意味がない。
普段はトマトミックスジュースで野菜を補っている。その半分ほどがこの季節は蕗に置き換わると言うのが実情だ。
やはり結局、蕗が好きだから労をいとわず、と言う事なのだ。

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