サガン鳥栖の試合を見に行った  2013.8.19 
 

先月サガン鳥栖の試合を見てきた。これまでテレビでしか観戦してこなかったから、初めての経験である。
佐賀大学はサガン鳥栖の「ピッチスポンサー」になっていて、ホームゲームのチケットを5枚ずつ貰える。
国立大学法人の仕事に地域貢献があるからなのか、大学としての論理の建て方が良く分からないけれど、
とにかくそのチケットを希望する教職員に頒布しているのである。
今までも気になってはいた。昨シーズンJ1に昇格して益々気になり始めたが、希望者も増えた印象だった。
“早い者勝ち方式”なので、「どうしようかな」なんて思っている内にすぐ頒布終了になってしまっていた。
ところが先月は二回も観戦することになる。
ヴァンフォーレ甲府戦 - 7/10
平日の夜で、仕事終了と同時に慌てて鳥栖スタジアムに向かう必要のある時間設定だったからだろうか?
結局私が観戦した7月10日はチケット配布〆切のメールが回らなかったようだ。
けれども私の場合、土曜は晴れていれば庭仕事、だから予定が立たない。むしろ水曜夜で好都合だった。
サッカー好きだった卒業生に聞いてみたが、観戦するのにこれと言った決まりはない、とのことだった。
飲食物にアドバイス。結局食事は途中で買った弁当を急いでかき込んで、飲物だけ持って行った。
直前に思いついて、サガン鳥栖のホームページから選手の一覧を印刷して行くことにした。試合を見ていて
「今のは誰かしらん?」と言う事になるかもしれないから。
昨年と打って変わって今年は残留争いの順位に低迷しているが、今日は下位チーム同士だしホームゲーム。
久しぶりに勝つ可能性があるような気がした。初めて観戦しに来たのだから勝って欲しい。
満席ではないのに観戦に良い場所は先客がいて、意外に場所取りに困った。空いていると思ったら柵の陰。
やっと見つけたら「ここは人が来る」と女性。結局反対側の男性と相談して「折角だから見て貰いましょう」と。
どうも生徒達を連れてきていて、生徒達がちゃんと席に着かないと言う状況だったらしいことが後で分かる。
前半は0-0で折り返した。そこで当たり前のことに気がついた。「この試合には終わりがあるのだ」と言うことに。
けれども0-0だから「まだ何も見ていない」と言う不満が残った。「このまま後半も0-0で終わったらいやだな。」
前半終了に近い時間になって中学生くらいの女の子が二人来て隣に座り、後半途中までいた。
「○○番が格好いい」とか、何を見てるのかと自分たちで苦笑していた。それよりその後の言葉にびっくりした。
「私達どっちを応援すれば良いの? 白かな?」 それは相手チームです!
周りの歓声に注意すれば、この近辺で見ている人達がどっちを応援しているかなんて分かりきっているのに、...。
おかげで分かったのは、多分サポーター席とアウェイサポーター席以外はどっちを応援しても良いのだろう。
実際問題としてはアウェイサポーター席を除くほとんど全ての観客が鳥栖の応援をしていたので、
この座席で甲府の応援をして目立つと少し具合悪いかも知れないけれど...。それだけにわざわざ九州まで来て、
アウェイサポーター席に集まる少数の甲府サポーターには頭が下がる思いだった。
感心したのはサポーター達の声の合わせ方だった。かなりの人数がいるのに、ちゃんと声が揃うのは何故か?
練習をする時間を取ることは難しいだろうに、中学生が練習した合唱を披露するのと、遜色ないレベルなのだ。
いつもやっているから揃うようになったのだろう、と解釈したが、いやはや好きとはこういうことなのだろう。
サポーター席全体をチームカラーに染め上げる熱意にも敬服。
最前列には、持ち上げるだけで身体が浮き上がってしまいそうな大きな旗が並んでいた。さすがに旗を振るのは
時々のようだったけど、大勢で旗の担当を入れ替わればもっと盛んに振ることが出来るかも ?…!
目の前で相手選手の肩に当たったボールが出た。ところが相手側のスローイン。「何でだ!」と叫んだのは
先程から私の前で賑やかに応援していたお母さん。ご主人と二人の男の子を連れて来ていたが、
夫婦でサガンのユニフォームを着る熱の入りよう。下の子は寝ていたが、上の子は楽しんでいる様子だった。
この子は顔が藤田キャプテンに似ているぞ! 将来はJリーガー?

後半に入って暫くして試合が動いた。相手ゴールの前でキーパーがサガンの選手を倒してレッドカード退場に。
豊田選手がPKを決めたが、倒された選手は誰だか分からず、翌日調べたら野田選手だった。
PKを豊田選手に譲ったのは得点王争いを考えてのことか、別の理由なのか、良く分からないが、決まれば良し。
あの時は「決めてくれ」と心の中で呟いて、内心不安だったけれど。
一人少なくなった甲府相手に今まで以上に攻め込んだ、のは間違いないが、追加点を奪えないまま試合終盤。
このまま1-0で久しぶりの勝ちかな、と思ったとき、何と失点。ゴールキーパーが何でもない球を捕球に失敗。
足下でバウンドする球をかがんで直接手で取ろうとしたから良くなかったのではなかろうか?
多分あれは、「相手のクロスに走り込む選手がいなかった」と言う事だと思うのだが、誰も近くにいないのだから、
普通に足でトラップするか、いっそのこと前に出た方が確実そうな気がするんだけど、...。
観客も静かだし、一瞬何が起きたか理解できなかった。サガンの選手がボールをセンターサークルに運ぶ。
やはり失点なのだ。キーパーに怒号を浴びせる人も居ない。選手が淡々としているのは試合中だから?
甲府サポーターの歓声もない。聞こえたのは、後ろの男性の「滅多にないプレーが出た」と言う声だけだった。
考えて見ると甲府の選手やサポーターにしてみたら、今日の試合は一方的に振り回された。得点も相手のミス。
サガンの独り相撲に振り回されただけの疲労感が想像できて、ちょっと申し訳ない気持ちになる。
残り時間は少ない。攻めているとは言え、再度突き放すのは容易でないが、ロスタイムに入ったその時だった。
豊田選手の2点目が決まった。胸で受けて右足シュート。この試合で一番の芸術的な得点シーンだった。
先の失点とは正反対に、良いプレーを見た満足感を貰った。割と近い座席にいたのがまた幸運だったと言える。
前半終了時とは逆に充実感一杯になって観戦を終えた。

帰りに最初に掲げた写真を撮った。静かになったスタジアム、のつもりだったのだけど、そうは見えないですね。
光が上下に筋になっているのは普通に解釈すれば絞りに依る光条だけど、絞りが2枚しかないのだろうか?
絞り以外にレンズシャッターも疑うべき? 携帯のカメラなので構造が良く分からない。
そして気になっていたことを聞いてみた。17番を着たサポーターが妙に多い。選手の一覧に17番はない。
過去の選手? そこで17番を着てゴミ拾いをしている女性サポーターを捕まえて聞くが、良く分からない。
代わりに別の番号を着た男性サポーターが教えてくれた。チーム設立に重要な働きをした方の命日なのだそうだ。
これには神妙な心持ちになった。
    
そこからが大変だった。彼が持っていたタオルを私に渡して、「明日の授業でこれを使うように」と言い始める。
「受けるから」というのだが、学生に依るよねと思う。そもそもタオルを授業に持っていく必要がないのだが、...。
どうにも引き下がらないないので貰っておくことにした。
久しぶりの勝利に彼も興奮していたのかも知れない。まあ初めて見に来て勝利してくれたのだから、私も嬉しい。
洗濯して普通のタオルとして使おうかと思ったが、妙に細長く、ごわごわして使いにくそうだ。
試合中ぶんぶん振り回すために、長く丈夫に作ってあるのか、タオル本来の使用を想定した作りではないようだ。
それでも捨てるのは気が引ける。無理して使ってみるか、どうするかまだ迷っている。

シドニーFC戦 - 7/24
本当はこれで終わりの筈だった。大学に来るチケットの頒布を受けることが出来るのは年間一回きりだからだ。
ところがそのすぐ後に別の試合の観戦チケットの頒布が受けられることになった。
シドニーFCとの親善試合のチケットを400枚も手に入れたというのだ。「そんなに希望者がいるだろうか?」
家族の分もOKと言うけれど、今回もやはり水曜夜の試合で、時間的には行くのが大変なはずだ。
心配になった。佐賀大学のせいで空席だらけになったらいけない。アウェイサポーター席だということだが、
ネット上で「何故アウェイサポーター席が完売なのか?」と疑問が語られていた。犯人(の1つ)は佐賀大学です!
そうと知っていれば甲府戦には行かなかったかも知れない。
けれども両方の試合を見に行って良かった。リーグ戦と親善試合では意味合いが違うことを知ることが出来た。
今日の観衆はどちらのチームのプレーにも沸き上がって、両方とも応援しているような感じだった。
観客は贔屓チームの応援でなく、素晴らしいプレーを見るために集まっていた。甲府戦とは雰囲気が随分違う。
片方しか見なければもう一方の試合も同じようなものだと思ってしまったに違いない。
半分は空席を減らすために行ったようなものだったので、当日の昼に「まだチケットが残っているか」聞いて、
案の定残っていたので貰いに行ったというわけである。結果的にはアウェイサポーター席も大体埋まっていた。
だからそんなに心配することもなかったわけだ。全体としての客入りも十分だった。
斜め後ろの大学生くらいの観客が時々プレーに駄目だししていた。先日の「キーパーがポロリ」はなかったけど、
今日の試合では絶対に見たくないプレーだと思った。
デル・ピエロという選手がシドニーFCの注目選手とのことで、それだけ覚えて行った。終盤にひときわ大きな拍手。
何だか分からずに私も拍手したら、デル・ピエロ選手が交代になるのだった。それを機会に席を立つ人までいた。
まあその後暫くして戻って来たから、トイレか何かかも知れない。逆にデル・ピエロ選手のためにトイレを我慢?
それはそれで凄いことだ。
途中でウェーブが始まる。アナウンスに気づかず参加しそびれた。残念。後ろの大学生らしき観客も同様らしく、
後から一人で立ったり座ったりしていたけど、一人じゃウェーブにならないのを痛感する。
結果はまたしても2-1でサガン鳥栖の勝利だった。私が見に行くと2-1で勝つのかしらん? 甲府戦から今まで
一度も勝てていない筈だ。
残念だったのは先制点。入場口が反対側にあって、ゲートも混雑して列に並んだため、試合開始に少し遅れた。
席に落ち着いて少ししたときにスコアを確認したら何と既に得点が入っているではないか。先制点を見逃した。
シドニーFCはシーズンオフに来ているので、調整できていないとのことだし、勝敗への拘りも少ないからか、
激しく身体を当てることもなかった。一方サガン鳥栖も豊田選手と金民友選手が東アジア杯に招集されて不在。
実力を反映する試合ではない。
豊田選手の日本代表招集は朗報だった。かつて年齢制限のある代表に水沼選手が呼ばれて結構活躍したが、
フル代表に招集されたのは豊田選手がチーム史上初めてになる。
全国テレビでも彼の招集を期待する声が度々上がっていたので、地元だけのニュースではなさそうだ。
代表戦を見る目が変わる。先日のウルグアイ戦のテレビ放映では、ボールのない場所での彼の動きに注意した。
徹底して相手の守備を挟んでボールと反対側に動いていた。目は前にしか付いていないから、
このように動かれては、守備する側から見ると気に掛けることが増えてしまい、守りにくいし疲れることだろう。
彼が招集された理由が、運動音痴の私にも何となく分かるような気がした。

(付け足し) 一昨日の19時から珍しくサガンの試合を中継していたので見た。定時の両親への電話のために、
途中で音量を聞こえないくらいに絞ったけれど、その間も画面は見ていた。
    
前半調子をつかみかけていた時に失点。0-1なのに「私が観戦してるから2-1で勝つ?」。「テレビ観戦じゃあね...」
ところが後半に2得点して、本当に2-1で勝利してくれた。
何気なく自分の座っていた100円均一の折り畳み椅子を見ると、本日スペシャル仕様の“西瓜ユニフォーム”色。
今日の試合を見に行った人には全員にこのユニフォームが配られている由、スタジアムが緑色に染まっていた。
ああ、そう言うことだったのね!

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